
- ニューヨークの親父たち。
旅行に行くたびに、私が必ず時間を費やすのがヒューマン・ウォッチングである。大自然や建築物に気をとられて見過ごしてしまうことが多いが、人々の日常は、まさにその国の習慣・カルチャーだ。人間観察をすることによって、人々が毎日をどう過ごすか、どんな服を着てどんなものを好むか、何が流行しているのかをはっきり見ることが出来る。旅行に行った国のことを、より深く理解できるはずだ。

- カトマンドゥのスワヤンブーナート寺院で見かけたおしゃれなおばさん
ニューヨークに行ったときのことだが、父が大好きな映画クロコダイル・ダンディーで使われたホテルを見に、セントラルパークの手前のプラザホテルに行くことにした。興奮気味にホテルを見回している父親をよそにあたりを見回すと、ベンチで一休みしているおじさんたちを発見。見れば3人ともポロシャツにショーツ(ショートパンツ)で、そのうち二人は素足にローファーだ。どの男性も、同じぐらいの歳に見えることから、その夏のおじさんニューヨーカーのファッションはポロシャツ、ショーツ、素足にローファーがいちおしだったのだろう(笑)。ぼうっとしていると完全に見落としてしまいそうな些細なことだが、これもニューヨークをニューヨークたらしめているもののうちの一つだ。

- やしの木のてっぺんにぶら下がっていたおじさんを発見
ネパールやインディアで気づいたことは、男性が優雅に木陰でたたずんでゲームをしたりお茶を飲んだりしているのに比べて、女性がせかせかと働いている様子だった。後で知ったことだが、ネパールなどでは、女性が家事仕事をしている間、男性が学問を学び政治などについて語り合うのが普通だそうだ。 それにしても、ネパールの女性は見ていて飽きない。色とりどりのサリーを美しく着こなし、颯爽と歩く。赤や黄色、緑、青と、カトマンドゥは様々な物が様々な色で取り揃えてあり、ユニクロも顔負けだ。もしかしたらカトマンドゥの女性は、日本の女性よりもファッションに厳しいのかもしれない。服だけでなく、生活必需品からバケツまで、色とりどりだった。それが古都バドガオンに行くと、一気に色がモノトーンになる。茶色と灰色だ。さすが町全体が野外博物館なだけあって、人々も何か行儀よくしているように思えた。

- ポーズをとってくれたおじさん。麦藁帽子が似合っている
旅行では、余所見をしていると見逃してしまうものが沢山ある。車から窓の外を見れば、バラを売っている子供が道路をうろうろしていたり、ふと上を見上げれば、ヤシの木の遥か上のほうで夕飯のココナッツを採取しているおじさんがいたり、カメラも向けていないのにわざわざ花を手にとって私を呼びとめ、ポーズを取ってくれたおじさんもいる。おじさんは丘の上で日向ぼっこをしていたようだ。おじさんに英語は通じなかったので、アッサラームアライクムとシュクランしか知らなかった自分が悔やまれた。それでもこの国が、日本とは正反対に時がゆったりと流れているのだと気がついた。
目を開けると、様々なものが見えてくる。たまに怪我をした子供やホームレスなど、あまり見たくなかったものを見てしまうこともあるが、良いことも悪いことも全部ひっくるめて、それがその国そのものなのだ。世界の人々が、どれだけ私達と「違った日常」を送っているかを垣間見ることが出来るのが、ヒューマンウォッチングだ。次の旅行でぜひ試してもらいたい。改めて日本の素晴らしさと、世界の素晴らしさの違いを発見できることだろう。
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